1. はじめに
SES(システムエンジニアリングサービス)業界は、多くのエンジニアにとって身近な働き方の一つです。しかし、業界の内情を深く知ると、見過ごせない課題も浮かび上がります。
その一つが、**「外国籍不可」**の案件が増えているのではないか、という問題です。
2. SES業界の案件情報の実態
典型的なSES案件情報
SES業界では、エンジニア向けに以下のような案件情報が日常的にやり取りされています。
■作業(概要):Javaの開発
■スキル要件:Javaの経験3年以上
■作業場所(勤務地・最寄駅等):東京駅
■作業期間(開始時期):2025年4月1日
■作業期間(終了時期): 備考:長期
■募集人数(目安):1名
■単金の目安:60万前後
■精算条件(超過・控除の有無):160±20h
■外国籍:不可
■再委託:不可
■契約形態:派遣
■打ち合わせ回数:1
■その他:・勤務形態:カレンダー通り
■勤務時間:09:30~18:30 「外国籍不可」の条件が増えている?
このような案件情報の中で、「外国籍不可」の条件が付いているケースが増えているように感じます。
3. 「外国籍不可」案件の増加の背景
① コロナ明けの採用拡大と下流人材の増加
コロナ禍が落ち着き、IT業界でも採用が再び活発化しました。しかし、多くの企業が経験の浅い若手エンジニアを大量に採用したため、下流工程(テスト・保守運用など)を担当する人材が増えている可能性があります。
このような案件では、日本語での細かい指示が必要とされるため、「外国籍不可」とするケースが増えているのかもしれません。
② 経済安全保障法の影響
日本では経済安全保障推進法が施行され、特定の業務において外国籍エンジニアの関与が制限される動きがあります。特に、政府関連や機密性の高いプロジェクトでは、国籍による制限が強まっているようです。
③ 業務委託契約の抜け穴
業務委託契約は「契約の自由」が認められているため、企業が「外国籍不可」とすること自体は法的に問題がないとされることが多いです。しかし、これは本当に適切なのでしょうか?
4. 欧米では考えられない状況
多様性を重視するグローバル基準との差
欧米では、「多様性の尊重」がビジネスの基本です。
人種や国籍による差別は厳しく取り締まられ、「外国籍不可」とすることはほぼありません。
日本特有のSES業界の構造的問題
SES業界では、日本語能力を重視しすぎるがゆえに、外国籍のエンジニアを排除しがちです。
この構造は、グローバル化に逆行しています。
5. 法的な問題はないのか?
民法上の「契約自由の原則」
民法では契約は当事者の自由意思に基づき成立するため、企業が「外国籍不可」の条件を設定すること自体は違法とはなりません。
「公序良俗違反」の可能性
しかし、民法には「公序良俗に反する契約は無効」とする規定があります。国籍を理由とした差別が、人権侵害として問題視される可能性もあります。
6. 日本のIT業界の未来──今こそ考えるべきこと
少子化による人材不足の加速
日本は少子化が進行しており、ITエンジニアの人材不足は今後さらに深刻化します。外国籍エンジニアの受け入れなしに業界を維持するのは難しくなります。
グローバルな開発環境の整備
企業は、外国籍エンジニアが活躍できる環境を整え、適切な評価制度を導入する必要があります。
日本企業が取るべきアクション
- 「外国籍不可」条件の再検討
- グローバル人材との協働スキームの構築
- 多様性を受け入れる企業文化の醸成
7. おわりに
SES業界の闇の一つとして、「外国籍不可」案件の増加について考察しました。
この流れを放置すれば、日本のIT業界の国際競争力が低下するリスクがあります。



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