ロープレの準備

営業ロープレの運用を開始する前に、必ず以下の3つを揃えましょう。

1.営業資料=会社説明

ロープレで使用する営業資料です。SESでは、会社説明にあたる部分です。弊社では、ホームページをPCで見せながら説明を行っております。

2.事例

顧客理解を深めるために事例を用意します。

用意する事例は、成功事例を選ぶことをおすすめします。成功事例は顧客の情報が豊富で、受注要因が明確になっていることが多いからです。

失敗事例は情報が不鮮明なケースが多く、参考にならない可能性があるので避けましょう。また、ロープレをきっかけとして失敗事例を掘り下げて、成功の要因を探る取り組みを始めることもあると思いますが、こちらも同様の理由で避けることをおすすめします。

3.評価シート

統計学・品質管理の領域で著名な米国のW・エドワーズ・デミングが、「定義できないものは、管理できない。管理できないものは、測定できない。測定できないものは、改善できない」と指摘しています。

定義(評価基準・ポイント)がなければ、測定も改善もできません
ロープレをただ実行するではなく、可視化できる(数値化)ようにして、改善できるようにすることが大事です。

営業ロープレに必要な人員と全体の流れ

営業資料、事例、評価シートの3つが揃えば、いよいよ実践です。必要な人員と全体の流れ、所要時間の目安について説明します。

最適な人数は3名以上

必ず、営業役、顧客役、評価者の3名以上で実施してください。

顧客役と評価者を同一人物が兼ねることは避けましょう。顧客役は顧客ならではの視点で集中して聞く必要があり、細かな点まで抜け漏れなく実施したかどうかをチェックするのは難しいからです。

また、フィードバックの品質を高めるために評価者を2名以上おくことをおすすめします。多角的な視点でのチェックができます。

全体の流れと所要時間

以下の流れで、所要時間は1回35分(目安)としています。

内容所要時間
役の決定2分
シーン、目的、終了タイミングの確認2分
顧客事例の確認3分
実践15分
評価シートに沿ったフィードバック10分
営業役による振り返り3分

営業ロープレの進め方

進め方、注意すべきポイントについて解説します。

1.役の決定

説明が苦手な営業パーソンや経験の浅い営業パーソンが営業役を担うケースが多いと思います。しかし、「あるべき姿」をイメージできないまま実施しても意味がありません。

まずはハイパフォーマーやマネージャーが、手本として「あるべき姿」を示しましょう

2.シーン、目的、終了タイミングの確認

役が決定したら、営業役はシーン、目的、終了のタイミングを伝えます。

(例)サービス紹介で初回商談のアポを取得したため、顧客情報は事前準備で把握できる範囲に限定する。顧客に課題解決の意識を持ってもらうことが目的で、サービスの説明をすべて終えたら終了。

なお、初回商談で30〜40分にわたってサービス説明をしてしまう営業パーソンがいますが、長くても20分以内に収めましょう。マネージャーは無駄な説明がないかをチェックすると良いでしょう。

3.事例の確認

シーンや目的の認識をすり合わせたら、各自で事例を読み込み、顧客の市場環境、課題、ニーズ、内部環境などを再確認します。

そのうえで、たとえば営業役は顧客の課題と訴求内容、顧客役は刺さりやすそうなポイントの確認、チェックポイントの整理などを行います。

4.実践

気になる点があったとしても、中断せずに15分間は集中して行いましょう

ハイパフォーマーやベテランは、言い回しや内容をアレンジすることがあります。しかし、その都度、言い間違いなのか、アレンジなのかを確認していては、トークが中断され、流れも悪くなってしまいます。アレンジするケースがあることも想定し、15分間は中断することなく集中して行いましょう。

一方、若手や新人などで気持ちに余裕がない場合は、15分前のことを思い出せないケースもあります。終了後にアドバイスをしても状況を覚えていない可能性があるため、録画することをおすすめします。

5.評価シートに沿ったフィードバック

まずは評価者が評価シートに沿って各項目の点数と理由、コメントを伝えます。次に顧客役が同じように伝えます。

ただし、顧客役がすべての項目を意識しながらロープレを実施するのは難しいことです。判断できる箇所だけを採点しましょう。そのため、評価者は複数いる方が望ましいです。

また、営業役にフィードバックを受け入れてもらうためには、信頼感が不可欠です。評価者が頭ごなしに指導しても、営業役は受け入れません。

以下の流れでフィードバックを行うことをおすすめします。

  1. 評価する、認める(以前との違いなど、具体的にbefore / afterも伝える)
  2. 気になった点、修正点に対して営業役の意見や意図を確認する(頭ごなしに否定しない)
  3. 意見に対して理解を示したうえで、修正すべき点を指摘する(ティーチング)
  4. 指摘に対する営業役の考えを述べてもらう(コーチング)

評価シートのK列「合意点」は、評点を1つにまとめるという意味です。

評価者によって点数がばらついてしまうと、営業役は正解がわからず、納得感も得られません。顧客役と評価者で点数をすり合わせるようにしましょう。

6.営業役による振り返り

最後に、営業役の感想をもとに今後の取り組みを整理します。

ロープレを実施するだけでは無意味であり、15分間を通して課題を発見し、改善することが大切です。

フィードバックを踏まえ、課題や修正点、今後のアクションを言語化することで課題認識と実行力が養われます。

(例)顧客が享受できるベネフィットを言語化できなかったため、顧客のよくある課題とサービス価値を洗い出し、文字起こしをして、個人練習を30回実施したうえで、再度ロープレを行う

次回のロープレでは振り返り内容にもとづいて、修正していくと良いでしょう。最後に次回の日程や配役を決めて、解散します。

営業ロープレに関するよくある質問・お悩み

営業マネージャーからよく頂く質問やお悩みに回答しました。

評価者の採点にばらつきがあり、営業役が困惑してしまう

ポイントは2つあります。
一つは、指標となる型を作成し、あるべき姿を定義することです。顧客によってチューニングは必要ですが、「正しいトーク」を定義することが大切です。
型化以前の話であれば、記事中でも解説したように、評価者同士で議論して、合意した点数を営業役に伝えることです。解を1つにすれば、営業役が迷うことはありません

定着しない、やらなくなってしまった

以下に取り組むことをおすすめします。

■開催日を定例化する(例:毎週月曜日10:00〜)
■営業本部長や経営層も参加し、組織としてコミットする
■トップセールスやマネージャー層も積極的に参加し、「あるべき姿」を実演する
■スキルマップシートを用いて、before / afterを可視化
■成長が感じられる点についてフィードバックし、成長している実感をもたせる

とくに最後の2つは成長実感の欠落を防止するためにも、優先的に取り組みましょう。定着させるために必要なのは、成長を感じられることです。

最後に

営業ロープレは営業パーソンの成長、受注率の向上に欠かせない取り組みです。新人からベテランまで、すべての営業パーソンで実施できるように整備し、営業組織の強化につなげてください。